岐阜県美術館名品選、ルドンの黒、青邨とフジタの白、モローとルドンの 。-単純で深いもの-坂倉新平は、絵を描くことの内面的な基礎は寺で過ごした15歳までの幼少期に学んだことだと語っている。五感を通じて感じることを寺での生活の中でごく自然な形で学び身につけたことで、築かれた精神的な支柱が後に画家として事物を捉える際の大きな力となった。また、造形的な面では制作活動の初期である19歳の時に同郷の先達、建築家-坂倉準三と出会い現代美術を客観的な視点から教授され、その教えが後の長期に渡るパリでの制作を通してより深く幅広いものになったと坂倉は語っている。坂倉がパリで絵を描いていた当時、アンフォルメルの作家たちがまだ現役で活躍し、抽象表現主義の影響の色濃い時代であった。坂倉さんも色彩とフォルム、線と面の動きや構成に、自分の特色を出すべく精進していた。物事を表面的に捉えるのではなく、目に見えないものも描こうとする姿勢、情緒的な表現に陥りやすい対象を画面上に構築的なアプローチで結実させ、シンプルな表現の中に非常に豊かな世界を感じさせる色や形。光、風、音。絵画でありながら五感に響く作品は多くの人を魅了し続けている。本作では黒を背に青、黄、赤の3色というシンプルな配色がなされている。青、黄は白線によって輪郭付けられているが、完全に切り分けられているわけではなく背景の黒と溶け合っている。また赤は主張を抑えられているが、これにより画面全体でみた際の単調さを廃している。坂倉の作品からはいつも光を感じさせられる。色調は抑えられているが、そのひとつひとつ、暗いはずの黒色からでさえも暖かみを含んでいる。計算と非計算、内面性と造形美が反映されています。F20号、galleria graphica tokyo 取扱作品です。